Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第63回 Nikon1 J5

 これが、CXフォーマット最後のカメラとなりつつあります。

 先日、直販ネットショップにて、J5を手に入れました。登場から2年あまり、多分在庫処分となっている、アウトレットです。これで、J1からJ5まで、V1からV3まで、S1、S2と、CXフォーマット全モデルが揃ったこととなります。

 CXフォーマット各機を並べると、最初はJ1とV1の喧嘩別れがあり、バッテリーも、USBコネクターも、大きさも一度も揃ったことが無く、レンズの設定は悪くなかったのですが、キットでは標準ズームが付属で無かったり、一貫性が無く、ちょっとその辺はどうなの、といった感じはします。特にバッテリーは、多少のダウンサイジングのために新規設計となっており、その辺はあまりいただけません。充電器だけで4種となり、最初からその辺も考えてやってほしい、という感じはしました。

 ただ、基本設計が間違っていたわけでは無いので、細々としてでいいから、もう少し続けて欲しかったのですが、新ミラーレス、Zシリーズに、現在は資源を集中する必要があり、そんな余裕も無いのでしょう。そこは残念です。

 沈胴構造、ステッピングモーターなど、一般のDXフォーマットカメラにも効果を発揮した設計をもたらしたCXフォーマットですが、その血脈は、絶えようとしています。

 もし、ZシリーズやD850を購入するのなら、特典の5%クーポンで、是非アウトレットのJ5を買うことをお薦めします。そうすれば、きっとN社も喜ぶと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

第62回 Nikon1 V3

 それは、フラッグシップとなるべく設計されたカメラでした。

 V1の経験で、もっとデジ一らしく造られたのは、V2。グリップが出来て、専用設計のバッテリーも装備、小型デジ一のような雰囲気でしたが、少し狙いすぎ、満足いくセールスを得られなかったようです。

 その結果、V3では、「バッテリーの共通化」「EVFの外付け」ということとなり、意見の割れたグリップ部は、取り外し可能な外付けのものとなりました。キットレンズは標準ズーム、Jシリーズとの共通化もかなり考えられたものでした。

 しかしJシリーズは、デフュージョンラインのSシリーズが出来たことからこちらに合わせてしまい、また充電装置が新規設計となったことから、結局新規設計の電池が採用され、「共通化」は実現しませんでした。

 実際にV3を使うと、グリップは便利ですが、電池交換の度にネジを回し取り外す必要があり、また斜めに固定してしまうところがあり、グリップ派の評価は低いようです。外してしまうと操作位置がデジ一と異なることから、扱いづらく、そこは不満です。

 マイクロフォーサーズに勝ったとされる、EOS-Mシリーズの上級グレードは、小型デジ一と形が近く、高級コンデジとも見間違う程の造りです。その点から考えると、V3は、まだまだ改良の余地があると思います。

 ここで、妄想のV4を考えると、V3のグリップが装備された状態が標準となり、操作をデジ一と共通化、デジ一のサブとなるレンズ交換式コンパクトといったところでしょうか。EVF外付けはそのままで、電源スイッチと持ち手が一緒なら、それは操作性の改善にもなります。J5在庫整理の最中で、CXは考えたくないのでしょうが、まだまだ改良の余地はあり、捨てたものではありません。

 V4を出すなら、おそらくJ6も出すことになるでしょうから、退行期にそこまで資源を投入するくらいなら、今後の成長が見込まれるZマウントで、というのも分かり、ほとんど期待出来ませんが、もう少し余裕が出来たら、ということでしょう。

 それでは、次回をお楽しみに。

第61回 Nikon1 V1

 それは、中途半端なデビューでした。

 CXフォーマットと、1マウント、則ちN社初のミラーレス一眼のデビューで、J1と、V1という2つのモデルが登場しました。J1はコンデジが発展した形の、いわば「レンズ交換可能なコンデジ」であったのに対し、V1は、コンパクトなデジ一を目指し、その上にEVFを装備していました。

 J1は、エレクトロニックシャッターのみで、撮像素子でシャッターになっていましたが、V1は、エレクトロニック、エレクトロニック(Hi)、メカニカルの3つのシャッターがあり、それは選択出来ました。メカニカルは、従来のデジ一、則ちフィルム時代の一眼レフから発展したもので、フィルム時代は先幕と後幕の2つでやっていたところ、デジ一は後幕が電子式となり、その最後の姿です。

 V1は、当時の多くのデジ一と電池が共用で、デジ一のサブでの使用も考えられていたのでしょう、一眼レフを使用する人をターゲットにしたミラーレスでした。しかし、デジ一では常識の、撮影結果を液晶モニターで表示する機能が無く、ファインダーを覗いて撮ったものはファインダーのみでしか表示出来ず、そこは少し納得がいきませんでした。

 また、J1はダブルズームがキットで採用されていましたが、V1は当初単焦点10ミリ(フルサイズ換算28ミリ)のみのキットしか無く、レンズの選択肢が少なく、ズームレンズのためだけにJ1を買う、という人も多くいました。

 更に、設計もJ1に軍艦部と後方を継ぎ足したような形で、電池スペースの無駄も相俟って、かなり大きなカメラとなってしまいました。

 もう一つ言うならば、接続コードがデジ一と違い、コンデジ用のUSBケーブル接続となり、ただでさえコネクターの種類がバラバラなN社が、また混乱を招いています。N社ユーザーは、4種のUSBに対応している必要があります。

 結局、付属のキットレンズが致命傷となり、V1はあまり売れず、後にダブルズームレンズに変更となり、それで在庫が整理されたようです。

 まあ、ボディはそういうものと理解すれば納得も出来ますが、USBと、付属レンズは、かなり致命的なものでした。このクラスで、単焦点を理解出来る人は少なく、結果残念でした。

 ちょっとしたところで、もっと売れても良かったV1でしたが、不満が残るところです。勿体ない。

 それでは、次回をお楽しみに。

第60回 1Nikkor 70-300mm

 それは、圧倒的なレンズでした。

 70-300mmという焦点距離は、通常のデジ一ではそれほど珍しくなく、純正以外にもレンズメーカー各社が競合するレンズ、少々見飽きたレンズでもあります。しかし、1Nikkorであることが、大きな意味があります。

 CXフォーマットは、素子が小さいことから、フルサイズ換算189-810mmであり、180ミリでも相当な望遠ですが、800ミリとなれば三脚無しには支えられない巨大レンズであり、正に超望遠、それをコンパクトボディで実現したことで注目を集め、発売当初は品薄で手に入れるのが困難な1本でした。

 ありがちな設計では、既存の70-300mmのレンズと部品を流用して、コンバーターが付いたような設計になりそうな所、一から新設計して全部新製のレンズとしたことから、それは更に驚きで、更にコンパクトに纏まっています。「沈胴式」の設計も、それを有効に生かしています。

 ナノクリまで施し、自信作であったであろう同レンズも、CXフォーマット全体の販売縮小で生産は止まり、恐らく市場在庫のみとなっているのでしょう。カメラが成功であれば名作となったであろうこのレンズも、少し無念な感じです。

 CXフォーマットは決して悪い設計では無く、むしろ積極策ではあったのですが、マイクロフォーサーズやEF-Mマウントに勝てず、新規設計は途絶えています。新作を造るなら、私も意見はあるのですが、先ずはZマウントのローンチを成功させることが課題であり、1マウントはその次でしょう。ただ、後継はあるのでしょうか。

 それでは、次回をお楽しみに。

第59回 55mmf3.5 Ai

 これは、過渡期のレンズでした。

 N社のMFレンズは、Fマウント登場時のNikkorから、NewNikkor、AiNikkor、Ai-S Nikkorと発展していきます。露出自動化には、初期にはレンズ開放値をセットする必要があり、通称「富士山」と呼ばれる連動爪で連動させる必要がありましたが、AiによりF3からその必要が無くなり、Ai-Sで操作が統一、完成を迎えます。

 今回手に入れた55mmf3.5は、55mmf2.8Sの原形、操作統一前のAiです。その一つ前の、非Ai55mmf3.5は、PK-3と共に手に入れており、しかし状態があまり良くなかったことから、今回手に入れました。

 f2.8モデルと比べると、前玉が小さく明るさ相応ですが、とても綺麗な一本で、安く手に入れられ運が良かったと思います。しかも箱入り、ビニール袋にはN社のロゴが印刷される乾燥剤が入るなど、前オーナーがほぼ保管用にしていた1本らしく、使用感もなく、惚れてしまいそうです。少し使うのも勿体ない位です。

 Ai-Sではありませんが、連動絞り輪もあり。将来的にはFTZを介しZマウントでも使用可能な1本のようです。しかし、Zシリーズは、何処へ行っても「ダブルスロット」の大合唱で、実際私もデジ一でRAWが書き込み時に喪失した経験もあり、それが数百枚に1回でも、やはり心配は理解出来ます。MkIIをつくるときは、是非ご検討下さい。

 それでは、次回をお楽しみに。

第58回 FT1

 それは、既存システムを繋ぐ、大切な一つでした。

 昨日のFTZで思い出したのは、FT1。先日入手したばかりです。既に販売も終了のようで、正規の店舗では手に入らず、オークションしか途はありません。

 実は、その直前に、サードパーティー製のFマウントレンズの1マウントカメラ用コンバーターも手に入れました。それは、非CPU連動のレンズを1マウントで使用するためで、FT1では端子を壊しそうだったので、手に入れました。しかしこれではマニュアル露出しか出来ず、その辺は考え方ですが、やはりCPUレンズ用も欲しいと思い、買いました。

 早速試し、連動も確認しましたが、やはり純正の安心はあります。しかも全モード使え、何故販売中止まで手に入れなかったのかと、後悔しています。画角は2.7倍相当で、標準も望遠になってしまいますが、持っておくべきでしょう。

 今後、CXフォーマットは生産を縮小し、間もなく流通在庫のみ、という状況になっていくのでしょう。今のうちに、手に入れられるものは手に入れておきましょう。無くなってからでは、遅いですから。まだまだ十分可能性はあると思っていましたが、Zマウントを思うと、そんなにラインナップを用意するのも大変でしょうから、やはり整理縮小となるのでしょう。残念です。

 それでは、次回をお楽しみに。

第57回 Zマウント

 それは、発表前から話題となっていました。

 遂に発表となった、Zマウント。半年前に、N社が特許を取った時点から既に話題となっており、どんなカメラとレンズが出るのかと、注目されていました。

 今日がその発表日となり、新型フルサイズミラーレス一眼2機種と、当面のレンズ3種、マウントアダプターが発表となっています。

 開発された理由は単純、フルサイズミラーレスは現在ほぼオーディオメーカーS社の独占、Eマウント以外のマウントはありません。コンデジは10分の1、デジ一は半減と市場縮小が続くカメラ業界で、唯一成長している分野であり、これを放置する話はありません。現在トップメーカーC社も開発中とされ、こちらの動向も注目されます。

 ミラーレスのメリットは、一眼レフの必須要素ミラーボックスのスペースを考える必要が無いことで、かつてFの時代にはミラーアップして挿入し、ファインダーは専用の装置を取り付けた、魚眼レンズを中心とした超広角レンズも、設計が楽になることです。また、レンジファインダーの時代にはf0.95のレンズもありましたが、今回のZマウントレンズでは、58mmf0.95も今後発売予定とのことで、ミラーボックスが原因で設計出来なかったレンズも続々登場することとなり、今後に期待が持てます。

 当面は標準ズームと、35mm、50mmのみですが、50派と85派とが分かれるところです。まあ、当面はアダプターで既存レンズも併用という選択もあります。

 しかし、Eマウントのユーザーには、コンデジスマホ上がりのユーザーも多いということ。今回発表のZシリーズ2機種は、ファインダーもEVFが標準装備ですが、これの無い、あるいは外付け式とした、ダウングレード仕様も検討が必要では?それで値段を抑えたら、一気に火が点くような気がします。

 なお、レンズアダプターFTZは、Ai以降のMFレンズも対応とのこと。昔からのファンも、忘れていません。

 開発当初は、清水の舞台から飛び降りるような気持ちだったでしょうが、上手くいくよう願いたいです。

 それでは、次回をお楽しみに。

第56回 AT-X 17-35mmf4 FX

 これは、原形が分からないほどですが、パクりです。

 今回の17-35mmf4は、K社の製品ですが、元はN社の18-35mmf3.5-5.6Gではなく、16-35mmf4Gのパクりです。しかし、この原形の16-35mmf4Gは、頑張って16ミリまで入れたためにかなり躯体が大きなものとなっていますが、K社はそこを切り、18-35mmf3.5-5.6のサイズでf4通しを実現しています。逆にここまで解釈出来れば、立派という感じはします。

 使用は、主にサブリュックの時に、広角が必要なときに出場する程度で、頻度はかなり低いものです。まあ、広角では、「何の写真か分からない」となりがちなので、望遠に比べると、登場の機会は少ないでしょう。

 これも、1本目では無く、何本かあって、少し違う写真が撮りたいときに手に取るものでしょう。互換性は多分大丈夫ですが、最新カメラでは使えない可能性もあります。そこが、レンズメーカー製の弱みでもあります。

 やはり、カメラのグレードに合わせれば、使用するレンズは決まってきます。「入るから」でやっていると、いずれ痛い目に遭います。「最新カメラだけど、レンズは…」というのは恥ずかしい。バランスを取りましょう。

 それでは、次回をお楽しみに。

第55回 SP 15-30mmf2.8

 これは、コピーでは無く、完全なオリジナルです。

 先回の、AT-X 16-28mmf2.8 FXと同時期に手に入れた一本ですが、これはレンズメーカーのT社の渾身の一作、通常のレンズのf2.8での限界を見せています。意識させたレンズはあるでしょうが、どのレンズとも外観が異なり、オリジナルであることが分かります。これは、24-70mmG2、70-200mmG2と共に、T社の三部作というか、これも「大三元」とも言うようで、広角ズームの名作に入るようです。

 更に、新コーティング、手ブレ防止VCが入り、恐らく超広角大口径ズームでは史上初でしょう。T社の新作は、まず間違いなく自社開発の手ブレ防止VCが入り、相当の自信作であるのが分かります。

 しかし、15ミリという広角を必要とする被写体はあまり多くなく、広角はともすれば何の写真か分からなくなりがちなところ、やはり相手を選ぶレンズなのでしょう。使いこなすほどの技術が求められます。

 ただ、ズームですから、あまり難く考えないで使うのも、使用法としてはあるのでしょう。実際使ってみて、学んでいく、という方法もある気がします。初心者の、最初の一本には入りませんが、何本か持って、今までの写真に満足出来なくなった頃に、欲しい一本でしょう。

 それでは、次回をお楽しみに。

第54回 AT-X 16-28mmf2.8 FX

 これは、自己消化をしていますが、パクりです。

 以前、カメラはN社で、レンズはレンズメーカーK社のレンズを使っている人がいました。随分周囲と話し込んでいましたが、その人は、気付いていませんでした。「K社は、N社の光学系をパクっている」ということを。

 今回の、16-28mmf2.8は、N社の14-24mmf2.8を、輸入光学ガラスと自社のプラスチック非球面レンズ技術で再現したもので、いちばん光学的に難しい14-16mmの部分をカットし、一般的なレンズになっています。そのため、オリジナルの14-24mmでは巨大なカリフラワー状になっている外観を、もう少し落ち着かせた感じになり、正面の球面も小さくなっています。その、2ミリの差は大きかったようです。

 性能的にはそれなりで、明るさは大きいですが、値段相応というべきか。ただ、常用には大きく、またデフォルメ効果も大きく一般的な撮影には向かず、被写体を選ぶ一本です。超広角が必要で、しかし大三元には手が出ない人には、救いの一本なのかも知れません。

 K社のレンズは、他もN社のパクりが多く、そのままパクってしまったものまであります。同じ光学系をトップメーカーC社のカメラで使えるのは大きいですが、そのままN社は黙っているのでしょうか。興味あります。

 それでは、次回をお楽しみに。