Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第33回 35-70mmf3.5-5.6

 これが、最初の1本でした。

 父のアメリカ長期出張の時に、買ってこなければ帰国罷り成らぬと、半ば脅して買わせてしまった、F-801(対米輸出バージョンで、正確には機番が違います)。カメラにお金を注ぎ込ませてしまったので、レンズはしょぼい2倍ズーム、35-70ミリとなってしまいました。なお、その前には、広角コンバーターが着いており、父はカメラのことが分からなかったようです。

 ただその時に、C社を買うよう言っておけば、そのまま安泰でしたが、それを思いつかず「NかM」と言ってしまい、結果N社になりました。もし、その時M社であったならば、多分今頃はS社乗り換えも無く、写真を止めていたでしょう。

 以降、永くその1本のみで、別のレンズを買うことも無く、一眼レフの特徴を使いこなすことも無く、続いていました。正直、プラスチックでレンズを造るM社の方がレンズは安く、高級硝材をふんだんに使用して造ったN社のレンズは高く、父を恨んでいましたが、長い目で見れば、正解でした。

 本当に平凡な1本で、「ズームが出来ます」レベルのものでした。しかし、それまでMFズームレンズの主流であった、一挙動で持ちかえず操作出来る押し引きでズームするレンズでは無く、ズームリングとピントリングが独立した、以降のAFズームの基本となる設計のレンズでした。今思うと、そういう偉大なレンズであったのだと、改めて感じます。

 後に、FM10を購入、こちらは信号式露出計のみのフルマニュアルですが、それに付属するキットレンズは、これのMF版、富士山も無いMFレンズです。50mmf2でも良い気はしますが、現在生産が無く、ズームも出来る初心者用MFカメラとなっています。

 その後、レンズが増え、保存法も進歩し、機材整理もしましたが、今でもその1本は保存されています。やはり、原点だからでしょう。今後とも、持っていたい1本です。

 それでは、次回をお楽しみに。