Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第60回 1Nikkor 70-300mm

 それは、圧倒的なレンズでした。

 70-300mmという焦点距離は、通常のデジ一ではそれほど珍しくなく、純正以外にもレンズメーカー各社が競合するレンズ、少々見飽きたレンズでもあります。しかし、1Nikkorであることが、大きな意味があります。

 CXフォーマットは、素子が小さいことから、フルサイズ換算189-810mmであり、180ミリでも相当な望遠ですが、800ミリとなれば三脚無しには支えられない巨大レンズであり、正に超望遠、それをコンパクトボディで実現したことで注目を集め、発売当初は品薄で手に入れるのが困難な1本でした。

 ありがちな設計では、既存の70-300mmのレンズと部品を流用して、コンバーターが付いたような設計になりそうな所、一から新設計して全部新製のレンズとしたことから、それは更に驚きで、更にコンパクトに纏まっています。「沈胴式」の設計も、それを有効に生かしています。

 ナノクリまで施し、自信作であったであろう同レンズも、CXフォーマット全体の販売縮小で生産は止まり、恐らく市場在庫のみとなっているのでしょう。カメラが成功であれば名作となったであろうこのレンズも、少し無念な感じです。

 CXフォーマットは決して悪い設計では無く、むしろ積極策ではあったのですが、マイクロフォーサーズやEF-Mマウントに勝てず、新規設計は途絶えています。新作を造るなら、私も意見はあるのですが、先ずはZマウントのローンチを成功させることが課題であり、1マウントはその次でしょう。ただ、後継はあるのでしょうか。

 それでは、次回をお楽しみに。