Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第61回 Nikon1 V1

 それは、中途半端なデビューでした。

 CXフォーマットと、1マウント、則ちN社初のミラーレス一眼のデビューで、J1と、V1という2つのモデルが登場しました。J1はコンデジが発展した形の、いわば「レンズ交換可能なコンデジ」であったのに対し、V1は、コンパクトなデジ一を目指し、その上にEVFを装備していました。

 J1は、エレクトロニックシャッターのみで、撮像素子でシャッターになっていましたが、V1は、エレクトロニック、エレクトロニック(Hi)、メカニカルの3つのシャッターがあり、それは選択出来ました。メカニカルは、従来のデジ一、則ちフィルム時代の一眼レフから発展したもので、フィルム時代は先幕と後幕の2つでやっていたところ、デジ一は後幕が電子式となり、その最後の姿です。

 V1は、当時の多くのデジ一と電池が共用で、デジ一のサブでの使用も考えられていたのでしょう、一眼レフを使用する人をターゲットにしたミラーレスでした。しかし、デジ一では常識の、撮影結果を液晶モニターで表示する機能が無く、ファインダーを覗いて撮ったものはファインダーのみでしか表示出来ず、そこは少し納得がいきませんでした。

 また、J1はダブルズームがキットで採用されていましたが、V1は当初単焦点10ミリ(フルサイズ換算28ミリ)のみのキットしか無く、レンズの選択肢が少なく、ズームレンズのためだけにJ1を買う、という人も多くいました。

 更に、設計もJ1に軍艦部と後方を継ぎ足したような形で、電池スペースの無駄も相俟って、かなり大きなカメラとなってしまいました。

 もう一つ言うならば、接続コードがデジ一と違い、コンデジ用のUSBケーブル接続となり、ただでさえコネクターの種類がバラバラなN社が、また混乱を招いています。N社ユーザーは、4種のUSBに対応している必要があります。

 結局、付属のキットレンズが致命傷となり、V1はあまり売れず、後にダブルズームレンズに変更となり、それで在庫が整理されたようです。

 まあ、ボディはそういうものと理解すれば納得も出来ますが、USBと、付属レンズは、かなり致命的なものでした。このクラスで、単焦点を理解出来る人は少なく、結果残念でした。

 ちょっとしたところで、もっと売れても良かったV1でしたが、不満が残るところです。勿体ない。

 それでは、次回をお楽しみに。