Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第103回 8-15mmf3.5-4.5E ED

 それは、技術者の意地と言うべきでしょう。

 冬シーズンを迎えるにあたり、今回はいろいろ手に入れているのですが、これは、いわゆる「魚眼レンズ」です。

 魚眼レンズには円周魚眼と対角線魚眼があり、円周魚眼は写真の中央部に円形の像を結ぶ魚眼レンズで、対角線魚眼は写真全体に写る、円形の内側の像を写すレンズです。円周魚眼はフルサイズで焦点距離8ミリ、対角線魚眼は同じく15または16ミリで、従前N社はAFレンズでは対角線魚眼16ミリを販売していました。しかしレンズメーカーS社は、8ミリの円周魚眼と、15ミリの対角線魚眼を販売、またレンズメーカーK社はAPS-Cサイズ用の円周から対角線までの魚眼ズーム、5-10ミリを販売していました。結局それに刺激され、このレンズを設計したようです。

 それは、「マグロ」(1200-1700ミリ、野球場のバックスクリーンからバッテリーを写せるレンズ、横位置が1200ミリ、縦位置が1700ミリが必要なためこうなった)を設計したときにも議論があったように、スイッチ切替式の方が設計が簡単なのですが、そうでは無く連続的にズームする設計を選ぶのがN社ですから、結果フルサイズ用魚眼ズームとなり、APS-Cサイズ用の対角線魚眼となるズーム位置に数字では無く目印が付く、という設計になりました。今後高付加価値のカメラへとシフトするとしているN社、ということはDの4桁は危うく、D500の後継もやや疑問、ミラーレスのZ50以降の展開が注目であり、今更従来型のAPS-Cサイズ用デジ一のレンズの新規設計も考えられず、いよいよ時代は変わるのか、という感じです。

 そして、手に取りました。フードを外すと円周魚眼で、花形フードを装備するとケラレます。そう、フードは15ミリの対角線魚眼用です。そのフードを装備したまま被せ式キャップが填まり、それで袋形ケースに収まります。

 フードを外し、ズームを回すと、円周魚眼から対角線魚眼へ連続的に変化し、これは従来のレンズでは見られなかった画像を見ることが出来ます。新規設計出来ない面もありましたが、2本分+αという感じがします。

 今年のレンズカタログを見ると、随分薄っぺらく、レンズの説明も数値データのみとなり、軸足がフルサイズミラーレスに移りつつある感じがします。まだまだ望遠レンズならレンズアダプターで十分対応出来ますが、広角はミラーレスの特性を生かしいずれ再設計となるでしょうから、今後早期に無くなる可能性があり、その中でも必然性がかなり低い魚眼レンズは、最も危険な立ち位置にあります。来年もあるという保証はありませんので、少しでも興味があるなら、迷わずこの冬に買って下さい。

 それでは、次回をお楽しみに。