Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第105回 300mmf4E PF

 それは、圧倒的に小型軽量化されたレンズです。

 今年の冬の先取りで、手に入れた一つが、300mmf4E PFです。従前の300mmf4Dも使っていましたが、比較すると重量が約半分、圧倒的な小型化、軽量化が図られています。

 何故そんなことが可能となったのか。それが、PF素子というブレイクスルーがあったからです。PF素子は、「位相フレネル」で、その英語の頭文字でPFとなっています。これは、簡単に言えばプラスチックのレンズで、よく平らなのに拡大鏡になる、あのプラスチックレンズのことです。

 PF素子は、通常の光学レンズと反対方向の強力なスペクトルを発生し、これで光学レンズのスペクトルと打ち消しあい、結果光学的に差し引きゼロとなり、完成したレンズです。つまり、暴れ馬だったPF素子を、遂にN社は御した、ということです。

 重量は半減と書きましたが、長さも3分の2で、f4Dでは空洞が多かった設計も、レンズがぎっしり入り、無駄を最大限省いたレンズです。これは、当分他社は真似出来ない設計で、正にブレイクスルーと言うべきでしょう。商業的に成功すれば、これは正に勲章ものでしょう。

 細かいことを言えば、夜景ではPFフレアが出るとのことですが、ズームレンズのゴーストを考えれば小さな問題で、しかもそれを純正ソフトでは補正・軽減出来るわけで、それほど深刻とは思われません。気にしだしたら止まりませんが、気にしなければ何でもないことです。

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 作例ですが、晴天で順光なので何も問題が無いというところでしょう。もっと厳しい条件で、有効かどうか試したい気はします。

 実際に持った感じは、ほとんど標準ズームレンズ並み、多めに見積もっても70-200mmf4G相当の重量、三脚座も共用で、女性でも気にならない重さだと思います。このレンズは、稀に見る傑作レンズであり、もっとその素晴らしさを多くの人に体感して貰いたい、そんな感じがします。

 なお、その後姉妹版として、500mmf5.6E PFも発売され、値段も50万強となかなかですが、重量が従前のサンヨン級の1.5キロほど、これも負けず劣らずの傑作と言うべきでしょう。

 今後は、800mmf8の開発をするよりは、手持ちに厳しい200-500mmf5.6など、従前の方法では軽量化が難しい望遠ズームを開発するとか、そういうことを期待したいです。まだ、N社はレンズを開発出来る余力があるのは安心です。最悪、カメラメーカーとして続かなくても、十分レンズだけで食っていけるだけの技術はあり、あとはセールスを上手にすることでしょうか。期待します。

 それでは、次回をお楽しみに。